「塾には行かない。」それが、息子の考えでした。中学3年になって、近所の塾の体験会のちらしが来たので、試しに行かせてみたのですが、続ける気はまったくないとのことでした。本人にその気がないなら行かせても無駄だと、親の方でも塾という選択肢は消えました。自分で友達と一緒にやっていきたいのなら、それでよしと、のんびりした1学期が終わりました。夏休みの直前、たまたま調べ物をするために、パソコンを開いたのですが、武蔵境に近い塾のお知らせサイトがあって、その一番初めに学志舎の短い案内がありました。なにか特別な感じがする紹介文でした。まったく乗り気ではない息子に「先生の話を聞くだけ。体験授業も受けなくていいから。」と約束し、面談予約をしてから教室に行きました。塾は拒否していた息子でしたが、布施先生から受験に関するいくつかのアドバイスを頂いて、少し心が開かれたようでした。入るかどうかは夏休みの後に決めるということになり、彼に「他の塾の事は調べたこともないから、比較の上でというのではないけれど、この塾がダメなら、もう他の塾はないと思う。」と言うと、反論はありませんでした。

 

 

家族の夏休み計画は長期旅行で、息子には申し訳なかったのですが、例年通り、登山、魚釣り、キャンプと盛り沢山の遊びで一杯でした。やろうと考えていた勉強があまり進まなかったようで、あせったのではないかと思います。夏休みの後、塾はどうする?と聞くと、「入る。」との返事。この決断をさせてくれた神様に感謝しています。塾は夏期講習が終了し、学校の教科書はすでに最後まで履修済みという状態。布施先生から「今からだと大幅な遅れを取り戻し、みんなに追い付くだけでも大変だけど、がんばれ。」と励ましを受け、入塾させて頂くことになりました。9月半ばに息子は友達と立川高校の文化祭に行き、また学校説明会にも参加して、ここに行きたいと、立川への強い志望を持つようになりました。遅すぎるスタートでどうなるのかわかりませんでしたが、とにかく学志舎で学び続けました。塾での様子は私にはまったくわかりません。しかし、そんなことを質問して答える時間を取ってしまうのがはばかられる程、一生懸命やっていました。2学期の内申はとても上がり、学校での進路面談で担任の先生から「こんなに伸びた生徒は今まで見たことがありません。」と言われました。

 

今年に入り、1月に受けた自校作成校模試では偏差値74になり、立川、国立は安全圏、筑駒等難関国私立も合格圏という判定でした。志望を国立に変えたら?と勧めたのですが、立川への夢と、立川でしっかりやっていきたいという一貫した意思はぶれませんでした。合格発表を見に行く朝は、制服がないので入学式はどうするのかというような話題も出て、やりきったことからくる自信で落ち着いていました。すでに合格していた私立の手続き票は頭のすみにもなかったようで、私が万一を考えて、無理やり持たせました。彼は「大丈夫だ。」と言ってくれた布施先生を信じていました。塾のどこがよかったのかは、先述の通り、よくわかりません。ただ、ある日、社会の話題を食卓で話していた時、息子が「そんなことは布施先生から聞いている。」と言った口調が印象深く思い出されます。布施先生が授業の合間に実社会に出た時のいろいろな話を語って下さっていたようです。家族が知らない世界を先生から教えてもらっていて、そのことを誇らしげに思っている側に彼はいました。子供が信頼している人についている。親としてはそれで充分でした。合格してから、ふと、立川の倍率は一体どのくらいだったのかと思い、パソコンで見てみると、男子は2倍超えで年々上がっていると書かれていました。塾だけのお陰で合格できたと言うつもりはありません。今まで多くの方々に支えられて息子はここまで成長させて頂きました。いろいろな方のお顔が目に浮かびます。しかし、9月からの無謀な挑戦に対しては、布施先生が子供と一緒に全力で走って下さったのだと思います。また、受験前夜にバウムクーヘンのお菓子をもらって子供が帰宅しました。1人の塾生のお母様がみんなに下さったとのことでした。お菓子の包みの上にはマジックで「自信を持って!」と書かれていて、私はそれを見て、胸が一杯になりました。子供達一人一人への暖かい励ましでした。そのような親御さんを持つ生徒さん達と一緒に学ばせて頂いたことも本当にありがたく思っています。(今後は9月からでは席がないのではと想像しています。彼がぎりぎりで入塾できたことは、今思えば見えないドアが開かれたようなものでした。)

 

最後に。2月号の学志舎通信に「受験生の親御様へのお願い」として、以下のことが書かれていました。「そっと見守り続けてもらいたい。この時期は周りからいろいろと話をされても耳に入らない時。勝負しようとしているわけですから、一人で集中していたいものです。ですから、ご家庭では偏差値がどうこう、苦手科目をどうするのか?といった勉強面のお話は極力避けるようにお願いします。あくまで受験するのはご本人です。」確かにその通りだと思いました。親はなにもできないところで子供は戦っていた。そして、布施先生はぎりぎりのところまで子供に寄り添い、応援して下さったのでしょう。もちろん合格すれば努力の結果が見えてうれしいことではありますが、やはりそれは二の次のことと思っています。6ヶ月間の集中した勉強は強いられてできたことではありません。受験という関門に向かう中、彼は本当に打ち込んでいました。なにかをつかんでいる様子がよくわかりました。人生の中でこんな経験をさせて頂いたことこそ、彼にとって幸いなことでした。布施先生、本当にありがとうございました。先生と先生のご家族がこれからもお幸せでありますように、そして学志舎で共に学ばせて頂いたお子さん達の新たな一歩が祝福されますよう、心よりお祈り申し上げます。